お部屋のお掃除
引越し前の掃除はどこまで必要?プロが教える退去時の掃除術
引越しは、これまで住んでいた場所での暮らしに区切りをつけ、新たな環境での生活をスタートさせる節目となります。
家族で引越しをする方、単身で引越しをする方など形はさまざまですが、引越し前後の数週間は、住民票の異動や電気・ガス・水道といったライフラインの手続き、荷造りなどに追われて慌ただしく過ごす人が多いのではないでしょうか。
その中でも、退去時の掃除は忘れてはならない重要なポイントです。賃貸物件の場合、部屋の汚れ具合によっては敷金から多額のクリーニング費用が差し引かれることもあるため、原状回復をしっかり行う必要があります。
この記事では、ハウスクリーニングのプロの視点から、忙しい引越し準備の合間にも行える退去時の掃除のポイントや方法をご紹介します。

目 次
引越しするときに掃除が必要な理由

引越して退去した後に業者のクリーニングが入るのなら、自分で掃除しなくてもよいのではと考える方もいるかもしれません。
しかし、退去後の部屋の状態によっては、高額なクリーニング費用や修繕費用を請求される可能性があります。余計な出費を抑えるには、退去時にできるだけ部屋をキレイな状態にしておくことが大切です。
原状回復が必要
賃貸物件を退去する際には、国土交通省が定めるガイドラインに基づき入居時と同じ状態に戻す「原状回復」が義務付けられています。
壁や床の軽い傷や汚れは経年劣化とみなされますが、通常の使用範囲を超えたものは借主が責任を持って原状回復しなくてはなりません。キッチンの油汚れ、水回りのカビや水アカ、たばこのヤニによる黒ずみなどの汚れや傷は、善管注意義務違反や故意・過失と判断され、修繕費用を請求されることがあります。
出典:これでわかる!賃貸住宅を退去するときの原状回復のポイント(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001595124.pdf)
クリーニング代が高くなることがある
退去後のクリーニング費用は基本的に借主が負担するため、部屋が汚れたままだとクリーニング代が高額になる可能性があります。自分でできる範囲で掃除しておけば、追加でかかる費用を抑えられます。
退去時にやるべき掃除と原状回復のポイント

賃貸物件を退去する際には、原状回復に向けた掃除が欠かせません。退去後のクリーニング費用を抑えるためにも、ポイントを押さえて部屋全体を丁寧に掃除しておきましょう。
ここでは、原状回復に必要なポイントとあわせて、場所別の掃除方法やコツもまとめて解説していきます。
特に汚れが気になる箇所は、詳細のリンク先を参照し必要な道具や手順を確認してください。
キッチンの掃除
調理を行うキッチンは油汚れがたまりやすく、掃除が必要な箇所が多い場所です。こびりついた汚れは簡単には落ちないため、時間に余裕を持って掃除を始めましょう。
換気扇・レンジフードの掃除
換気扇やレンジフードに付着している汚れは、主に油汚れです。
油汚れは酸性の性質を持っているため、重曹などのアルカリ性の洗剤を使うと簡単に落とせます。ぬるま湯に重曹を溶かして作った重曹水を汚れに吹きかけ、台所用のスポンジでこすり落としてください。
コンロ周りの掃除

コンロ周りには、調理の際にはねた油や調味料、吹きこぼれなどさまざまな種類の汚れが付着しています。
五徳は取り外し、アルカリ電解水で漬け置きすると汚れが落ちやすくなります。アルカリ電解水はスーパーやドラッグストアのほか、100円均一ショップでも購入可能です。
コンロ周りや魚焼きグリルの汚れは、重曹水を使うと楽に落とせます。
<用意するもの>
- 食品保存用プラスチック袋
- タオル
- アルカリ電解水
- プラスチックカードかプラスチック定規
- 台所用スポンジ
<掃除の手順>
①シンクの中に袋を広げ、五徳入れる
シンクの中に食品保存用のプラスチック袋を広げ、五徳を入れます。
シンクに傷がつかないよう、タオルを敷いて作業すると安心です。
②アルカリ電解水で浸け置きする
袋の中にアルカリ電解水を10回ほど噴霧します。その後、五徳が浸かる程度に40〜45℃のお湯を入れて封をし、10〜15分ほど置きましょう。
③取り出して汚れを落とす
袋から五徳を取り出して、浮き上がった汚れをプラスチックカードなどで削り取ります。
次に、スポンジで擦って汚れをキレイに洗い流しましょう。
最後に乾いたタオルで水気を取って乾かしたら完了です。
シンクの水アカ(白っぽい汚れ)の掃除

キッチンのシンクは白い汚れが目立つところ。汚れの正体は、主に「水アカ」と「石鹸カス」です。石鹸カスは、歯磨き粉に含まれる研磨剤と食器洗いスポンジの硬い面を使って擦り洗いします。
水アカは酸性洗剤を使うと効果的ですが、キッチン用の酸性洗剤はあまり市販されていないため、レモンを代用します。

酸性洗剤の代用品として、レモン、クエン酸、お酢などがありますが、その中でもレモンの酸性の強さはトップクラスです。
<用意するもの>
- レモン(使用後のものや切れ端でOK)
- 歯磨き粉
- スポンジ
<掃除の手順>
①レモンをシンク全体に塗り付ける

レモンの果肉を使い、シンク全体をまんべんなく擦ります。
②歯磨き粉とスポンジで、ヘアラインにそって擦る

食器洗い用スポンジの硬い面に、歯磨き粉を付けます。

ぐるぐると円を描いてシンクを磨いていませんか?シンクには「ヘアライン」と呼ばれる「目の向き」があります。この向きに逆らって擦るとキズが目立ってしまうため、写真の矢印の方向にあわせて擦ってください。
③水を流して乾拭き

全体を磨いたら、水ですすいでいきます。
最後に、乾いたタオルで水分を拭き取って完了です。

水アカが残っている場合は、レモンを塗り付けたあとにラップを貼ってしばらく置き、再度②③を繰り返してください。
壁・床・食器棚の掃除
キッチンの壁や床、食器棚の中の掃除でも、重曹水を使った拭き掃除が効果的です。頑固な汚れには、重曹水を吹きかけたあとにキッチンペーパーやラップを被せて漬け置きし、汚れを落としやすくしてから拭き取りましょう。
浴室の掃除
湿気の多い浴室は、カビや水アカが発生しやすく念入りに掃除する必要があります。
まずは浴室用洗剤で汚れを落としましょう。その後、カビにはカビ取り剤、水アカにはクエン酸などの酸性洗剤を使って汚れを取り除いてください。
<用意するもの>
- 浴室用洗剤
- スポンジ
- クエン酸スプレー
- カビ取り剤
- ラップ
<掃除の手順>
①浴室内の汚れを洗い流す
浴室内全体にお湯をかけ、飛び散った皮脂などの汚れを洗い流します。
②浴室用洗剤で洗う
壁や床、浴槽に浴室用洗剤をかけ、スポンジで擦って汚れを落とします。
③シャワーで流す
洗剤が残らないように、シャワーを使って隅々までしっかりと洗い流してください。
④水アカを落とす
水アカが気になる部分にはクエン酸スプレーを吹きかけ、ラップで覆って5〜10分ほど置きましょう。
水アカがやわらかくなったらスポンジでこすって落とし、最後にシャワーでしっかり洗い流します。
⑤カビを落とす
カビが生えている箇所があれば、まずは十分に換気をし、水気を取ってカビ取り剤を吹きかけましょう。
その後、ラップをかぶせて10〜15分ほど放置し、しっかりと洗い流します。
カビ取り剤がクエン酸と混ざると有毒ガスが発生する恐れがあるため、④⑤は必ず別の日に行ってください。
洗面台の掃除
洗面台にはせっけんカスや水アカがたまりやすく、カビも発生することがあります。重曹水を使い、スポンジで汚れをこすり落としてください。蛇口周りなどの手が届きにくい部分には、小回りのきく古歯ブラシを活用すると便利です。
トイレの掃除
トイレは毎日掃除していても、便器の縁の裏側や奥などには尿石が付着しています。尿石は尿に含まれる成分が硬く石化したもので、軽くこすっただけでは落とせません。アルカリ性の汚れなので、クエン酸などの酸性洗剤を使ってやわらかくしてからこすり落とすと効率的です。
<用意するもの>
- ティッシュペーパー
- クエン酸スプレー
- トイレブラシ
- 歯磨き粉やクリームクレンザー
<掃除の手順>
①尿石をやわらかくする
尿石がこびりついた部分にティッシュペーパーを張り付けます。
ティッシュペーパーの上からクエン酸スプレーをたっぷり吹きかけ、10分ほど放置して尿石をやわらかくします。
②ブラシで擦る
トイレブラシに歯磨き粉やクリームクレンザーを付けて、便器を擦り洗いします。
壁や天井の掃除
壁や天井にはホコリや手アカが付着していることがあります。特に汚れやすいのは、キッチンや玄関周りです。やわらかい布で乾拭きするか、中性洗剤を使って優しく汚れを拭き取りましょう。壁や天井の掃除は、汚れが下に落ちることを考慮して上から下に向かって掃除するのが基本です。
床(フローリング・畳)の掃除
フローリングは、掃除機をかけたあとにモップや乾拭きで仕上げます。畳の場合は基本的には乾拭きし、汚れがひどい場合は専用のクリーナーを使って軽く拭いてください。
家具を置いていた場所に設置跡が残ることもあるため、フローリングの掃除は全ての家具を搬出してから行うのがオススメです。
畳の掃除(へこみ・ダニ)

家具などでできた畳のへこみ、気になりますよね。
浅めのへこみであれば、スチームアイロンで戻ります。また、テレビ番組ではスチームアイロンを使った畳の「ダニ対策」としてご紹介しましたので少し触れたいと思います。
<用意するもの>
- スチームアイロン
- タオル
- 掃除機
<掃除の手順>
①タオルを畳にあてスチームアイロンをかける

畳を焦がさないように、畳にタオルをあてスチームアイロンをかけます。
タオルはお湯で濡らして固く絞ったものを使いましょう。
これだけでへこみが戻ります。
ダニ対策は、畳全体に①を行った後に、次の②③を行います。
②乾いたタオルで拭き掃除
水分が残っているとカビの原因になるため、乾いたタオルで拭き掃除します。
③掃除機がけをする
スチームアイロンでダニは駆除できますが、死骸が残るため、畳の目に沿って掃除機をかけて仕上げましょう。
窓・サッシ・網戸の掃除
サッシや網戸を掃除する際に窓ガラスが汚れるのを防ぐため、窓やその周辺を掃除するときは①網戸、②サッシ、③窓ガラスの順で進めます。
網戸は片面に新聞紙や段ボールを当て、反対側から掃除機で汚れを吸い取ったあとに2枚の雑巾で両面から挟むようにして拭き上げてください。サッシの溝にこびりついている砂埃は、サッシブラシなどを使って取り除きます。サッシの角にたまった汚れは、割り箸にキッチンペーパーを巻き付け輪ゴムでとめたお掃除棒を使うと簡単に取れます。
窓サッシのコケ・固くなった汚れの落とし方

ベランダやお部屋のサッシにコケや固くなった汚れはありませんか?
意外かもしれませんが、北向きで結露の多い部屋や庭に面した窓など、湿気が多い場所では窓のサッシにコケが生えていることがあります。
ここでは、コケや簡単に落ちない固くなった汚れにも有効な掃除方法をご紹介します。
<用意するもの>
- サッシブラシ
- 掃除機
- 定規
- タオル
<掃除の手順>
①大きな汚れを取り除く
サッシブラシを軽く握り、ホコリやゴミなどの大きな汚れを掃き出します。
②固まった汚れを叩いて落とす
掃くだけでは取れない固まった汚れは、ブラシの先端で叩いて砕きます。
汚れを砕いたら、①と同様にサッシブラシで掃き出しましょう。
③掃除機で残った汚れを吸い取る
取りきれなかった汚れは、掃除機で吸い取ってください。
隙間掃除用のノズルがあると、細かい部分の汚れも吸い取りやすく便利です。
④水拭きする
水で濡らして硬く絞ったタオルを定規に巻きつけます。
サッシの隙間に差し込み、汚れを拭き取りましょう。

ブラシは古歯ブラシでも構いませんが、隙間の掃除や排水口用にサッシブラシがあると便利です。毛の量も長さもあって、ひとかきの威力は歯ブラシとは比べものになりません。100円均一ショップやホームセンターでも簡単に手に入るので、1本用意しておくとよいでしょう。
エアコンの掃除
部屋にエアコンが備え付けられている場合は、エアコンも掃除しておきましょう。ただし、自分で掃除できるのはフィルターと本体カバーの外側、吹き出し口のみです。
<用意するもの>
- 掃除機
- タオル
<掃除の手順>
①フィルターを取り外す
エアコンの電源を切り、表面の汚れを掃除機で簡単に吸い取ってからフィルターを取り外します。
②フィルターに掃除機をかける
フィルターの表面から優しく掃除機をかけます。
③フィルターを水洗いする
落ちにくい汚れはシャワーなどで、裏面から水をかけて洗い流してください。水洗いしたあとはしっかりと乾燥させてから元に戻します。
④本体カバーと吹き出し口を水拭きする
本体カバーの外側や吹き出し口は、水拭きで汚れを拭き取ります。水拭きするときはタオルを固く絞り、エアコン内部に水滴が入らないよう注意してください。
合わせて読もう
引越し前の掃除は業者に任せて負担を軽減!

引っ越しの前後は、荷造りや各種手続き、運搬作業などで忙しく、掃除まで手が回らないこともあります。しかし、退去時の掃除は原状回復や敷金の返還に関わる大切な作業なので、手を抜くことはできません。
そんなときは、専門業者に掃除をお任せするのがオススメです。掃除の負担が減るので、引越し作業をスムーズに進めることができます。
ここでは、プロのクリーニングサービスを利用するメリットについて解説します。
忙しい引越し作業に集中できる
引越し作業では、荷物の梱包や搬出入、契約関連の手続きなどやることが多く、掃除する時間を十分に確保するのは難しいものです。専門業者に掃除を任せれば、引越し作業に集中できます。
自分では掃除が難しい場所もキレイになる
専門のクリーニング業者は、専用の道具や洗剤を使い、通常の掃除では落としにくい汚れもキレイに除去します。キッチンの油汚れや浴室のカビ、窓のサッシにこびりついた頑固な汚れも、徹底的に洗浄し取り除くことが可能です。換気扇などの手が届きにくい場所も、安全かつ効率的に掃除する技術を持っているプロになら安心して任せられます。
敷金トラブルなどのリスクを抑えられる
退去するときに部屋に汚れや傷があると、敷金が多く引かれたり、追加で修繕費を請求されたりすることがあります。専門の業者にクリーニングを依頼すれば原状回復がしっかりできるので、高額なクリーニング費用がかかる心配も軽減されるでしょう。
敷金トラブルを防ぎ、スムーズに退去するためにも、プロの力をうまく使うのがオススメです。
退去時の掃除はおそうじ本舗で!スムーズな引越しをサポート

引越しの際は、荷造りや各種手続きで忙しく、掃除までとても手が回らない!ということも少なくありません。
そうした場面でぜひ活用したいのが、おそうじ本舗の「お引越し前・後 まるごとクリーニング」です。
このサービスでは、キッチン・浴室・トイレ・床・窓など、家中のさまざまな場所の掃除をまとめてプロに任せられます。通常の掃除では取りきれない頑固な汚れも、ハイレベルな技術と道具を使って徹底的に取り除き、ピカピカの状態に仕上げます(※)。
さらにオプションを利用すれば、壁紙に染み付いたニオイや黄ばみなどの変色にも対応可能です。
しかも、複数箇所をまとめて依頼できるパック料金制だから、個別に掃除サービスを手配した場合の半額以下の費用で済みます。プロの掃除で原状回復をしっかりと行うことで、敷金トラブルのリスク軽減にもつながります。
新居へ入居する前の掃除も依頼できるので、すっきりキレイな部屋で新生活を始めたい方にもオススメです。
「引越し準備に追われて掃除の時間がとれない」「少しでも引越しの手間を減らしたい」という方は、ぜひおそうじ本舗にお任せください。
(※)汚れの状況により、完全に除去できない場合がございます。
この記事の監修者
ハウスクリーニング商品開発尾崎 真
おそうじ本舗の商品・サービス開発責任者を務め、国家資格であるハウスクリーニング技能士。 住まいのお掃除のコツや、暮らしに関するテクニックなど、お家で役立つ情報について満足していただける内容の改修を行っています。
おそうじ本舗 自分でできるお掃除術 監修者について

